藤原不比等

659年、藤原不比等は藤原鎌足の次男として生まれます。
母の姓を車持(くらもち)といいました。長男の真人がいましたが、
はやくに出家し、しかも亡くなってしまいました。なので、
次男の不比等が家督を継ぎました。

壬申の乱

父鎌足の死後3年目の672年に壬申の乱が起こります。
不比等は立場からすれば負けたほうの近江朝廷側にいたわけですが、
この年まだ15歳。戦にも加わらず、お咎めはありませんでした。

ただし中臣の親族の多くが処刑され、不比等自身も下級役人からの
キャリアのスタートとなってしまいました。

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しかし不比等の姉(氷上娘 ひかみのいらつめ)と
妹(五百重娘 いおえのいらつめ)が
天武天皇に嫁いだこともあり、出世は順調だったようです。

頭角をあらわす不比等

持統天皇の時代。31歳の不比等は判事に任じられ
政界に乗り出します。当時としては遅いデビューですが、
持統天皇の信任を得て、出世していきます。

持統天皇の次の文武天皇の時代には
刑部親王(おさかべしんのう 天武天皇の皇子)を補佐して
701年大宝律令を制定。施行とともに正三位大納言に昇ります。
時に不比等42歳です。

この間、娘の宮子(みやこ)を文武天皇に嫁がせ、
文武天皇と宮子との間に701年首皇子(おびとのおうじ)が生まれます。
後の聖武天皇です。

不比等、文武天皇、宮子、首皇子(聖武天皇)
【不比等、文武天皇、宮子、首皇子(聖武天皇)】

また父鎌足が賜った「藤原」の姓を自分の子孫にのみ限定するために
ほかの氏族の姓を「中臣」に戻らせました。

平城京遷都

710年、元明天皇の時代。都を藤原京から
平城京に遷します。不比等が中心となって
この平城京遷都は行われました。

藤原京と平城京
【藤原京と平城京】

平城京
【平城京】

なぜ藤原京を捨てて平城京に遷都したのか?
藤原京がせまくなったとか
新しい律令国家としての意気込みを作るだとか、
首皇子が天皇として華々しくデビューする舞台を整えるためとか諸説あります。

しかしハッキリした理由はわかりません。
とにかく遷都は不比等が中心となって行われました。

後妻である県犬養三千代(あがたのいぬかいのみちよ)
との間に生まれた光明子(こうみょうし)を716年、首皇子に嫁がせます。

この時首皇子16歳。光明子も16歳。同い年の夫婦です。

首皇子(聖武天皇)と光明子
【首皇子(聖武天皇)と光明子】

こうして不比等は天皇家の母方の親戚、
つまり外戚となって権力を握っていきます。

後の藤原道長や平清盛が行なったやり方です。
その原型は、不比等がはじめたものでした。

720年、享年61で逝去し、
死後太政大臣正一位を贈られました。

不比等の四人の息子たちを
武智麻呂(むちまろ)・房前(ふささき)・
宇合(うまかい)・麻呂(まろ)と言い、
それぞれ藤原南家、藤原北家、藤原式家、藤原京家の
開祖となります。

藤原四子
【藤原四子】

藤原不比等のイメージ

藤原不比等について面白いエピソードや逸話をお伝えしたいところですが、ほとんど残っていません。これほどの大事業を行った人物ですから、逸話の一つや二つ残っていそうなものですが、何も残っていないのです。不比等の人柄を伝える逸話などはほとんど残っていません。

父鎌足すら『万葉集』に歌があるのに、不比等の歌は一首も残っていません。なにか、注意深く自分の影を歴史から消し去ったような印象さえあります。

ただ、不比等の母方の姓を車持(くらもち)といいます。

車持…この響きに聞き覚えがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

『竹取物語』でかぐや姫に求婚する、婚約者候補の一人が、
車持皇子(くらもちのみこ)です。

「蓬莱の玉の枝を持ってきてください」

と言われて、そんなの無理ですから、ニセモノをつくって、ウソの冒険談を語ります。

「ある時は鬼に追いかけられ、ある時は草の根を食糧として…」



翁の前で嘘の冒険話をとうとうとまくし立てる場面は

「竹取物語」の中でも、見せ場の一つです。

この車持皇子は藤原不比等がモデルといわれています。

つまり、何のエピソードも伝わっていない不比等ですが、平安時代に書かれた『竹取物語』に、うそばっかり言う人物のモデルとされている所から見て、当時から「藤原不比等」というと、何となく胡散臭いイメージがあったことが、わかります。

≫次の章 元明天皇と平城京遷都

解説:左大臣光永

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