織田信長(十) 流浪の足利義昭

足利義輝、殺害される

永禄8年(1565)5月19日。

この日、13代将軍・足利義輝が三好義継・松永久通(松永久秀の子)の襲撃を受け、殺害されました。

この頃、足利将軍家の勢いは弱まっていましたが、義輝は、かつての足利義満・足利義教のように「強き将軍家」を目指し、大名を統制しようとしました。また義輝は、剣術にすぐれた豪傑でした。塚原卜伝より奥義を伝授され、弓や兵法の心得もありました。

義輝は地方の大名たちに書状を送り結びつきを強め、自分を操ろうとする三好一族や松永久秀らをけん制しようとしました。そこを、睨まれたわけです。

ワァーーー、
ウォーーーー

「おのれ三好・松永。むざむざやられてなるものか」

足利義輝は八面六臂の戦いぶりで、なんと30人もの敵を斬り殺しましたが、ついに討ち取られてしまいました。享年30。

救出

兄義輝が殺害されたことにより、奈良興福寺・一条院にいた覚慶こと足利義昭の身も危うくなりました。義昭は三好方の厳重な監視下に置かれることとなります。

「さて誰を次の将軍にするかだが…」
「自由に操れる相手がよい」

そこで三好・松永らは義昭の従弟の義栄(よしひで)を将軍の座につけようとしますが…一方で覚慶こと義昭を将軍につけようとする一派もありました。それは、幕府奉公衆・細川藤孝(ほそかわふじたか)・和田惟政(わだこれまさ)らでした。

7月28日夜。

細川藤孝らはひそかに興福寺一条院に入りこみ、

「覚慶さま、どうぞお逃げください!」
「おお、助けてくれるのか!」

近江亡命

こうして義昭を将軍に立てようと思う者たちの手引きで、義昭は近江甲賀郡(こうかぐん)和田館(わだのやかた)に逃れ、その後、同じく近江でも京都寄りの、野洲郡矢島(現滋賀県守山市)に移ります。

そして近江の大名・六角義賢(ろっかくよしかた)に書状を送り、「お前を頼りにしている」と呼びかけますが、六角義賢はそんな面倒事は御免でした。なんのかんのとはぐらかし、とうとう義昭を近江から追放してしまいます。

御内書を出しまくる

しかし義昭はめげませんでした。各地の有力大名たちに御内書(ごないしょ。将軍直々の書状)を出し、自分に協力するよう、呼びかけます。

上杉謙信をはじめとして、甲斐の武田信玄、相模の北条氏康、上野の由良成繁・能登の畠山義綱・美濃の斎藤龍興・尾張の織田信長…ほかにもたくさんの大名に御内書を出しています。数打ちゃ当たるって感じですね。その中に義昭が最も頼りにしたのが越後の上杉謙信です。何度も上杉謙信に書状を送り、どうか、わしが上洛し将軍になれるよう助けてくれと、訴えています。

しかし、上杉謙信には足利義昭を助けたくてもできない事情がありました。

川中島で武田信玄と五度にわたって戦い、そして北条氏康とも対立関係にありました。この、武田・北条という当面の敵をどうにかしない限り、足利義昭を上洛させることなど出来そうもありませんでした。

「やはり謙信を頼るのは難しいか…」

また、義昭を受け入れた越前の朝倉義景にしても、義昭を保護はしたものの、積極的に上洛しようとか、将軍にするために動く様子はありませんでした。あてにならない感じでした。

そこで足利義昭が次に目をつけたのが、織田信長です。

「信長なら力になってくれるかもしれない」

足利義昭は織田信長にさかんに書状を送ります。しかし。信長も、美濃の斉藤龍興と戦っているマッ最中でした。信長も忙しかったのです。足利義昭の思うようには動いてくれませんでした。

なかなか義昭の思う通りには事が運びませんでした。

越前亡命

永禄9年(1566)8月、近江もそろそろ三好三人衆の手が伸びて危なくなってきたので、義昭は若狭に移ります。従う者、わずか四・五人。翌9月、越前敦賀に移動。

敦賀で足利義昭は相変わらず上杉謙信に書状を送り、武田信玄と和睦せよ。そしてわが上洛を助けよとしつこく催促しますが、上杉謙信は越後を動くことができませんでした。関東に、集中せざるを得なかった。西に目を向ける余裕はありませんでした。

ほどなく義昭は越前敦賀から、朝倉氏の城下町・一乗谷の安養院に居を移します。

越前から美濃へ

永禄11年(1568)6月中頃。足利義昭のもとに朗報がもたらされます。

織田信長が美濃攻略をなし終えて、美濃においでくださいと、書状を送ってきたのです。

「ついに来た!この時が!」

永禄11年(1568)7月、足利義昭は、二年世話になった朝倉義景と涙の別れをして、美濃に旅立っていきました。

解説:左大臣光永

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