日蓮の生涯(五)竜口の法難
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こんにちは。左大臣光永です。むしむしした気候が続きますが
いかがお過ごしでしょうか?私は本日、神保町に参考資料の買い出しに
行ってきました。それにしても池袋から神保町は行きにくい。
有楽町線→東西線→半蔵門線と三回乗り換えるのが大変です。
さて、小倉百人一首の全首・全歌人を解説したcd-romを、
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「日蓮の生涯(五)竜口の法難」です。
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龍口寺・日蓮像
文永五年(1268)、文永六年(1269)と二年続けて訪れた
蒙古の使者を、いずれも日本は無視しました。
あはや蒙古が日本に攻め込んでくるかと、
危機感が高まりましたが、
その後、蒙古からの使者は途絶えました。
なあんだ大したことなかったな。
蒙古が攻めて来るなんて嘘じゃんと、
世の中は緊張感を緩めていきました。
しかし。
竜口法難
日蓮はなおも、他の宗派への攻撃をやめませんでした。
「建長寺も極楽寺も寿福寺も鎌倉の寺は焼き祓い、建長寺の蘭渓道隆も、極楽寺の良観房忍性も、首を刎ねて由比ヶ浜にさらせ」
そんなことまで言い始めました。こうなると幕府も黙っていられません。
文永8年(1271)9月10日。
日蓮は幕府評定所に召し出されます。裁判官は、侍所所司(長官)平頼綱が努めます。平頼綱は熱心な念仏信者であり、日蓮には日ごろから反感を抱いて言いました。
「日蓮、そのほう、鎌倉の寺寺を焼き払い、建長寺の蘭渓道隆殿や極楽寺の良観房殿の首をはねよと申しているそうであるが、まことか」
「間違いなく、そのように申しました」
ざわざわ…
「ただしそれは、この国のためを思って言ったこと。国家安泰を願うなら、日蓮の言を用いられよ。日蓮の言を用いなければ、それは御仏の御使の言を用いないこととなります。日蓮を島流しにすれば、間もなく外国の侵略を招き、北条の御一門に同士討ちが起こりますぞ」
「黙れッ!黙れ黙れーーーッ!!」
平頼綱は真っ赤になって怒り狂いました。
評定から2日後の9月12日未の刻(午後2時頃)。
平頼綱を大将として数百人の武士が、日蓮の松葉ヶ谷の庵に押し寄せます。
安国論寺 松葉谷日蓮上人遺蹟
わあーーーっ。
「日蓮、出てこーーーい」
「謀反人、日蓮!」
「ぬ、ついに来たか。法華経のために命を捨てるは無上の喜び」
「日蓮、おとなしくお縄につけ」
だだだっと駆けだした一人が、日蓮が懐に入れていた法華経を取り出し、ぱかーーん、ぱかーーん、たて続けに日蓮の坊主頭を打つ。どうと倒れる日蓮。その、自分を打った法華経を見ると、五の巻でした。
五の巻には、仏が滅して後、迫害が起こること。しかし迫害に耐えることが大切だということが書かれています。それで日蓮はニヤリ。
「打つ杖も五の巻、打たれると予言されているのも五の巻。法華経に予言されている通りよ」
「何をニヤケておるか!」
どたどたどたどたーーーっ
武士たちは、法華経を踏み散らし、持仏堂を叩き壊し、さんざんな狼藉を働きました。
捕えられた日蓮は、縄で縛られ、馬に引かれて、名越から評定所まで鎌倉市内を引きまわされます。裁判は形式だけで貞永式目十二条「悪口の罪」と確定します。日蓮は大仏宣時の預かりとして佐渡に島流しと決まりました。
しかし、島流しでは平頼綱の気は晴れませんでした。
「よいか。島流しというのは名目上のこと。日蓮を途中で斬ってしまえ」
内々に武士たちに命じていました。
9月12日夜半。日蓮は武士たちに取り囲まれて、若宮大路に出ます。赤橋で日蓮は馬から降り、まっすぐ鶴岡八幡宮の方を振り返り、
鶴岡八幡宮・二の鳥居
鶴岡八幡宮・太鼓橋(旧・赤橋)
「いかに八幡大菩薩。汝は誠の神であるのか。和気清麻呂が首を刎ねられようとした時には、あらわれて助けたというではないか。日蓮は日本一の法華経の行者であるぞ。なぜあらわれて、助けないのか。まして蒙古に日本が攻め滅ぼされたら、天照大神、正八幡大菩薩とて安全ではいられまい。なのになぜ、現れないのかーーっ」
ざわざわざわっ…
警護の武士たちは、怒りを通り越して、薄気味悪さを感じたことでしょう。
一行は由比ヶ浜に出て、
由比ヶ浜
長谷に至った時、弟子の四条金吾が駆けつけます。
長谷
「あああ、日蓮さま、こんなことになって」金吾は馬にとりつき、おんおんと泣きます。金吾、何を悲しむ。法華経のために首切られるのだ。これほど嬉しいことはない。しかし日蓮さま…
一行は七里ヶ浜沿いに腰越に出て、竜口に至りました。
腰越
龍口寺
武士たちが日蓮を馬から下ろします。いよいよ首斬られる雰囲気でした。日蓮に取りすがり、よよと泣く四条金吾。しかし日蓮は「なぜ泣く。これほどの喜び。むしろ笑うべきぞ」
龍口寺
龍口寺・日蓮像
その時、
びかびかびがーーーーーーーっ
江ノ島の方角から、月のように光る飛行物体が飛んできました。
「ひ、ひいいいーーーっ」
「な、なんだあれはーーーっ」
龍口寺・日蓮御霊窟
まだ明け方であたりは真っ暗だったはずが、昼間のように明るく輝きました。武士たちは恐れをなして倒れ伏し、馬から降りてひれ伏す者、馬の上でうずくまる者。大混乱となりました。
龍口寺・竜口刑場跡
本当にこんなことが起こったのはか何とも言えないところですが、日蓮の死罪が急に赦されて流罪となったことは事実です。この頃執権北条時宗の御台所が懐妊したため、恩赦で許されたという説もあります。また執権北条時宗は、特に個人的に日蓮に怨みはありませんでした。そうしたことが重なり死罪を免れたことを、光物が飛んできた、奇跡が起こったと物語化したのだと思われます。
江の島
次回は「佐渡流罪」です。お楽しみに。
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