織田信長(二十五) 朝倉・浅井を亡ぼす

信長の近江出陣

足利義昭との戦いを終えた織田信長は京都を経て岐阜に帰還しました。しかし信長はノンビリしてはいませんでした。

「義昭の一件が片付いた以上、浅井・朝倉との長年にわたる因縁に決着をつけるのだ」

間髪を入れず、近江に出陣します。

小谷城を攻めとるために、小谷城近くの高月(現滋賀県長浜市)に本陣を置きました。

そこへ越前から朝倉勢二万が北近江に侵攻してきました。

朝倉勢は高月北方の余呉(よご)・木野本(きのもと)に布陣しました。

雨の降りしきる中、織田信長は小谷城西の大嶽(おおずく)の砦に奇襲をしかけ、散々に打ち破ります。そして城兵を捕らえることなく逃がします。逃げ延びた城兵が朝倉義景の本陣に逃げ込んで、大嶽(おおずく)の砦が落ちたと報告する。そうすれば決断力の無い朝倉義景は、もはや勝ち目がないと見て、本国越前に撤退していくに違いないと、信長は考えたのでした。

信長の予想通り、朝倉義景軍は撤退を始めました。

朝倉攻め

「それっ、追撃せよ!」

わあーーーーっ

織田軍は撤退する朝倉軍を追いかけ、そのまま越前に入り、刀禰坂(とねざか。現福井県敦賀市)にて朝倉軍に追いつきます。

わあーーーー
わあーーーーーーーーー

弱り切った朝倉義景軍の背後から、襲い掛かる織田信長軍。

一方的な戦いでした。

朝倉義景軍はボロボロになって多くの将兵を失い、木ノ目峠を越えて逃げて行きますが、その後ろから織田信長軍が襲い掛かり、

朝倉義景は、朝倉氏代々の居城である一乗谷を放棄し、大野郡山田庄まで逃れます。その後ろから、織田信長軍が一乗谷に乱入し、乱暴狼藉を働く!

「ひい、ひいいっ…勝手に略奪しておれ。
この間に逃げおおせてやる」

そう考えたでしょうか朝倉義景。しかし義景の命運はそこで尽きました。従弟の朝倉景鑑(かげあきら)が義景につめより、義景を切腹に追い込みます。義景の首は織田信長のもとに届けられました。

朝倉義景の母親と嫡男も探し出されて斬られました。

こうして越前に五代にわたって君臨した朝倉氏は滅亡しました。信長は朝倉氏の忠臣である前波吉継(まえばよしつぐ)を一乗谷に守護代として置き、

浅井攻め

「次は浅井討伐ぞ」

すぐに近江に向けて出陣します。忙しいことです!

羽柴秀吉が中心となり小谷城に立てこもる浅井久政(あざいひさまさ)・長政(ながまさ)父子を攻めます。父浅井久政は自害に追い込まれ、息子・浅井長政は本丸に追い詰められ、2日間抵抗するも、

「もはやこれまでのようだ…」

妻・お市の方と三人の娘を前に、

「お前たちは逃げ延びよ」

「そんな、私はずっとあなた様と共におります」

「行くのだ!」

必死の思いで説得して、お市の方と3人の娘を逃がすと、長政は自害しました。嫡男の万福丸は家臣と共に越前へ逃がしましたが、途中、織田方に捕らえられ、関ヶ原ではりつけにされました。

ここに、朝倉氏に続けて浅井氏の歴史も幕を下ろしました。その後もお市の方には数奇な運命が待っていることはよく知られている通りです。

しかし越前朝倉氏を亡ぼしたことはかえって信長にとってマイナスになったかもれしません。というのは、越前朝倉氏がいなくなった後の越前は、一向宗の門徒によって支配されるようになります。そして一向宗門徒の背後にいるのは本願寺。信長にとってより扱いづらい相手を敵に回したこととなります。

長政亡き後の小谷城には羽柴秀吉が入ります。

元亀から天正へ

さて、足利義昭の居城であった二条城は破壊され、京都市民が略奪するに任せられました。もはや室町幕府は滅亡し、将軍もいなくなりました。そこで信長は、新しく京都を管理する政庁として、天下所司代…後の京都所司代を設け、村井貞勝をその長官に任じました。

この年の七月改元あって、元亀をやめて天正元年とします。

元亀は戦が多すぎた。今度こそ平和な世の中になるようにと、願いをこめてのことでした。

が、天正も戦につぐ戦となることは…後世を生きる我々のよく知るところです。

解説:左大臣光永

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