新選組 参考文献

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『新選組始末記 新選組三部作』 子母澤寛 中公文庫

いちばんスタンダードな新選組本です。司馬遼太郎氏の『新選組血風録』もこれをもとに書かれています。中央公論社に注文したら届くまで3週間くらいかかりました…。

『新選組遺文 新選組三部作』 子母澤寛 中公文庫

新選組三部作の二作目。子供と遊ぶ沖田総司、葬儀の受付を手伝う芹沢鴨など、「剣客」ではない、隊士たちのふだんの暮らしが描かれていて、ますます新選組が好きになれます。芹沢鴨の暗殺→池田屋事件→禁門の変といった大きな流れを新選組の「通史」とするなら、その合間に見える、人間くさいエピソードを集めた感じです。隊士たちの人物像を、膨大なインタビューによって浮き彫りにします。いろいろな証言をジクゾーパズルのようにあわせていくうちに、ぼんやりと新選組隊士たちの人物像が浮かび上がってくるのが、すごく楽しいです。

『新選組奮戦記』永倉新八 PHP

元新選組隊士の永倉新八の証言をもとに大正2年から小樽新聞に連載された『永倉新八』を再活字化したものです。まさに現場に立っていた方の証言だけあって、小説などの作り物には無い生生しさ、目の前で、刀と刀がぶつかりあっているような迫力があります。ただし永倉氏の記憶違いの部分が多いと言われており、その点は多くの人が修正しています。ちなみに『永倉新八』を底本に『新選組永倉新八』が刊行され、さらに『新選組永倉新八』を底本に『新選組顛末記』が刊行されたようです。『永倉新八』→『新選組永倉新八』→『新選組顛末記』という流れです。ただし素人目には微調整レベルで、それほど変わらないように思えます。

『いっきにわかる 新選組』 山村竜也 PHP

文章がとても読みやすいです。これから新選組について知りたいという方は、迷わずこれを読んでください。たいがい歴史の本というと「解読」が必要なくらいに文章が読みにくく、作者は読みにくく書くことを使命と考えているのかと疑ってしまいますが、この本は、まったく、読みやすいです。難しい歴史用語や概念が出てくるたびに、素人にもわかるようにいちいち解説してくれ、しかもそれがウットウしくなく、自然な流れの文章になっています。それでいて内容は深く、とても正確です。すばらしいの一言です。歴史の本は、みんなこんなふうに書いてくれれば、どんなにか歴史ファンが増えるだろうに…と思います。新選組のみならず、「わかりにくいことを、どうやってわかりやすく説明するか」ということにおいて、とても参考になる本です。

『新選組 決定録』 伊東成郎 河出書房新社

描写がミクロで、現場の臨場感が伝わってきます。永倉新八『新選組顛末記』からの引用が多いですが、現代の言葉で書かれているので、『新選組顛末記』より読みやすいです。また永倉の記憶違いと思われる箇所などは、細かく訂正してあるのが親切です。永倉新八『新選組顛末記』と小母沢寛『新選組始末記』とあわせて読むといいですね。

『新選組を旅する』 一個人 特別編集 KKベストセラーズ

「旅する」とあるだけに、「新選組ゆかりの地をたどる歴史探訪」に重きが置かれています。多摩・京都・会津など、エリアごとに新選組ゆかりの地が写真と地図つきで紹介されています。地図が小さいのが残念でした。現場再現CGが、とてもわかりやすいです。

『図解雑学 近藤勇』 菊池明 ナツメ社

図や地図がとてもわかりやすいです。タイトルに「雑学」とありますが、良くも悪くも「雑学」の粋を越えた深さとボリュームです。ただし文章は教科書的で、剣戟の臨場感などはまったくありません。なので、つまらないです。知識を整理するにはいいです。まず最初にこれを読む、というより、新選組についてある程度知っている人が、知識を整理するために読むものだと思います。

『浪士文久報告記事』 永倉新八 新人物文庫

『新選組顛末記』と同じく永倉新八による記録です。現代語訳と、「原文+書き下し文」が交互に載っています。しかし『顛末記』のような、まさに現場に立ち会っているような生生しさは、ありません。一番大事な剣戟の場面が「某は戦った」とか「某は暗殺されてしまった」とか軽くすまされていてガッカリします。文章もしまりがなく、推敲もされていない感じです。良い点は原文(漢文)と書き下し文が載っていることで、特に浪士組を募集したときの呼びかけ文などが原文で読めるのは、うれしいです。

解説:左大臣光永

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