毛利輝元(五)山中鹿之介の運命

こんにちは。左大臣光永です。さっき、ギャアギャアギャアって、庭でスゴい声がしたんですよ。

何だと思って出てみると、猫とカラスのケンカでした。フウーーーと気合入れて猫はニラみつけてる。カラスはギャアギャアいいながら旋回している。

真剣にケンカしてるカラスと猫の周りを、スズメたちがチッピチピチピと飛び回ってるのが、いかにも平和な風景でした。ノンビリした気分になりました。

さて。

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本日は「毛利輝元(五) 山中鹿之介の運命」です。

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前回まで(第一回~第四回)
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山中鹿之介幸盛

山中鹿之介幸盛。

出雲の尼子家の家臣。忠義の武士の代表のように言われる人物ですね。

大きな鹿の角のついた兜は兄から譲られたもので、鹿之介の名は、その兜から来ていると言われます。

永禄8年(1565)から始まった月山富田城の戦いでは、毛利方・品川大膳を一騎打ちにて仕留め武名を上げました。

永禄9年(1566)月山富田城が毛利方に攻め落とされ、尼子氏が滅亡すると、鹿之介は京都に潜伏し、尼子氏再興の時機をうかがっていました。

そこで鹿之介が見出したのが、尼子の血を引く尼子勝久です。

「今こそ尼子の再興を!」

鹿之介は尼子勝久をかついで、打倒毛利・尼子再興を目指して旗揚げをしました。

憎き毛利を倒し、尼子を再興する。

そのためには、どんな困難もいとわない。むしろ大歓迎だ。

「月よ、我に七難八苦を与えたまえ」

三日月にそう言って祈った話は、有名ですね。

しかし、尼子氏再興はなかなかうまくいきませんでした。鹿之介は何度も毛利に戦をしかけますが、そのたびに撃退されました。

「私の力だけではあまりに無力…」

そこで山中鹿之介が頼ったのが織田信長です。

憎き毛利を討ち、尼子を再興する!

そのために、毛利の敵である信長と手を結ぶのは、筋の通った話でした。

そして信長のもとで、直接山中鹿之介の面倒を見たのが、羽柴秀吉です。

「鹿之介、毛利が憎いか」
「はい。憎うございます」

「尼子を再興したかろう」
「言うまでもなきこと」

「ならば織田に手を貸せ」
「とことん働かせていただきます」

上月城合戦

天正5年(1577)10月。

毛利領に侵攻した羽柴秀吉は播磨から但馬に攻めていきます。

目標は毛利方の上月城(こうづきじょう。兵庫県左用郡)。

上月城は備前・美作・播磨の国境に位置する重要拠点。ここを落とせば、毛利方にとって大打撃でず。そこで秀吉は命じました。

「中国攻めの先陣・上月城攻略の大将に、山中鹿之介を命ずる」

「ははーっ」

地図を前に軍議を開く秀吉。

「敵は本丸に立てこもっている。どうしたものか」

「一気に土塁を超え、二の丸、本丸を攻めましょう」

山中鹿之介の意見が通り、兵5000が土塁を包囲。

ターン、タタン、ターーン

四方八方から毛利勢を銃撃。

その隙に蜂須賀小六の軍勢が土塁の一角に穴をあけると、

わあーーーーっ

堰を切ったように二の丸、本丸になだれ込みます。

ぶおっふぉーー
ぶおっふぉーーーー

わーーーわーーー

「我こそは尼子が家臣・山中鹿之介!」

「な…山中鹿之介だと!」

「山中鹿之介!」

その名を聞いただけで毛利方はビビりまくります。月山富田城での山中鹿之介の鬼神のごとき戦いぶりは、半ば伝説と化していました。毛利方にとってトラウマとなっていました。

「尼子積年の恨み、今こそ晴らさん!!」

先陣を切って突っ込んでいく山中鹿之介

ずばっ、、

キン、

どかぁ。

「あああ…もうおしまいだ」

城主・赤松政範(あかまつ まさのり)は自害し、上月城(こうづきじょう)は落ちます。

「鹿之介、よくやった。上月城は以後、お前が守備せよ」

「ははっ!憎き毛利に、一矢も二矢も報いてやります!」

山中鹿之介の運命

一方、上月城を奪われた毛利方も黙ってはいませんでした。織田と毛利の最前線にある上月城は戦略上の要所。何としても奪い返す必要がありました。

翌天正6年(1578)2月、その機会が来ました。

毛利方は、織田方・三木城(兵庫県三木市上の丸町)の別所長治(べっしょ ながはる)の調略に成功します。別所長治は織田を裏切り、毛利につきました。

すぐさま秀吉は三木城へ反乱鎮圧に赴きますが、そのために最前線の上月城はガラガラとなります。

「今だ!」

毛利輝元は吉川元春・小早川隆景と宇喜多直家に3万の軍勢を授け、上月城を包囲させます。秀吉はあわてました。

「鹿之介が危ない!」

秀吉は何としても山中鹿之介を救うべく、みずから上洛し主君信長に訴えます。

「山中鹿之介は義に篤い男です。
殺すには惜しい。
援軍を送ってやってください」

信長の答えは、

「ならぬ。上月城は見捨て、三木城攻めに専念するのだ」

「そ…そんな…」

信長は毛利攻めという大きな目的のために、山中鹿之介を見捨てたのでした。

「鹿之介、死ぬな!」

秀吉は上月城に使者を送ります。

敵の包囲網を突破して強硬脱出をはかれと。

しかし山中鹿之介は使者に向かって言いました。

「羽柴殿のご厚意はありがたいが…
強行突破となれば犠牲が伴います。ここは毛利方と
交渉してみようと思います」

山中鹿之介は吉川元春・小早川隆景の陣営に使者を送り、

降伏するかわりにわが主君・尼子勝久の命は助けてくださいと頼みますが…

「今まで毛利が、尼子によってどれほど苦しめられてきたことか」
「今更許せなど、ムシのいい話だ」

吉川元春・小早川隆景は山中鹿之介の申し出を拒否しました。

7月3日。上月城開城。

尼子勝久は城兵の助命とひきかえに、切腹。

山中鹿之介は毛利方・吉川元春に投降しました。

とはいえ、吉川元春は山中鹿之介を殺したくはありませんでした。

「敵とはいえ貴殿の粘り強さ。武人としてかくありたいと思う。
どうじゃ毛利に仕えぬか
なんなら周防に5000石の知行を用意しよう」

「吉川殿、お志痛み入ります。されど忠臣は二君に仕えず。
それがしは尼子の家臣。たとえ尼子が滅びたとて、それは変わりませぬ」

「うむ…やはりそうか…
貴殿ならそう言うと思っていた」

吉川元春は山中鹿之介の説得を断念。

その後、山中鹿之助は備中松山城に布陣する毛利輝元のもとに護送されます。

7月17日。備中阿井の渡(岡山県高梁市落合町阿部)にさしかかった時、山中鹿之介は休憩して、石に腰かけていました。その背後から

「やあーーーっ」

ざんっ!

袈裟掛けに肩を斬りつけられる。

「何をするかっ」

供の者が振り返ると、警護役の河村新右衛門でした。

「おのれ、毛利輝元に命じられたなッ」

キン、カカン、キン

山中鹿之介は河村新右衛門の太刀を一太刀、二太刀受けるも、

「ぐ、ぐはっ…」

力及ばず、

ざんぶ。

川に飛び込む。

「逃がすな!」

すぐに山中鹿之介は捕まって、取り押さえられ、討たれました。享年34。

憂きことの尚この上に積もれかし
限りある身の力ためさん

尼子再興に後半生のすべてをかけた山中鹿之介の、無惨な最期でした。

荒木村重の離反

上月城を落として勢いづく毛利勢。

「次は摂津ぞ」

吉川元治・小早川隆景は今度は摂津に手をのばします。そこでまず、摂津一帯を統治している織田方・有岡城の荒木村重を説得に当たります。

説得には毛利領に亡命している足利義昭が、みずから当たります。

「将軍である私が!織田ではなく毛利についているのだ!
ならば毛利と織田と、どちらに大義があるか、
子供にもわかる話ではないか」

「う…ううむ…」

荒木村重はしばらく織田につくか、毛利につくか、迷っていました。吉川元春・小早川隆景だけならば荒木村重の気持は動かなかったかもしれない。しかし、ここに説得役として足利義昭が出てきた。足利義昭という錦の御旗が自分を直接、説得に来ていることが荒木村重を動かしたようです。

「わかりました。毛利につきます」

こうして荒木村重は、信長に反旗を翻します。

「とんでもないことになった。摂津の荒木村重が離反だ。
官兵衛、説得に行ってくれ」

「御意にございます」

羽柴秀吉に命じられて黒田官兵衛が荒木村重の説得に向かいましたが、逆にとらえられ、幽閉されてしまいます。

上月城を奪取し、別所長治や荒木村重を離反させ…

毛利は勢いづいていました。

「よし。ここでもう一歩、信長に決定的な打撃を与えるのだ」

そこで毛利輝元が打ち出した策とは?

次回「毛利輝元(六)鳥取城の戦い」お楽しみに。

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本日も左大臣光永がお話しました。
ありがとうございます。ありがとうございました。

解説:左大臣光永