後三年の役(一)八幡太郎義家

こんにちは。左大臣光永です。7月に入りましたが、いかがお過ごしでしょうか?すがすがしい気持ちで新しい月を、スタートされましたでしょうか?

さて本日から三回にわたって、発売中のDVD「朗読 孫子の兵法」に関連したお話をお届けします。
http://sirdaizine.com/CD/SunziInfo.html

日本で『孫子』と結びつきの強い人物に、八幡太郎義家がいます。伝承によると八幡太郎義家こと源義家は、大江匡房(おおえのまさふさ)より『孫子』を学び、後三年合戦では雁が列を為して飛んでいるのを見て敵がいることを察知し、勝利を得たと伝えられます。

▼音声が再生されます▼

http://roudoku-data.sakura.ne.jp/mailvoice/Yoshiie1.mp3

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奥州の覇者・清原氏

11世紀。

陸奥国の豪族阿部氏が陸奥の国司と対立し、前九年の役とよばれる戦いが始まりました。戦いは十二年間に及びますが、源頼義・義家ら朝廷軍が、出羽国の豪族清原氏の助けを得て、阿部氏を滅ぼしました。

この戦いの後、清原氏惣領・清原武則(きよはらのたけのり)は阿部氏を亡ぼすに力を貸した功績により、鎮守府将軍に任じられます。

また、これまでの山北三郡(せんぽくさんぐん)に加え、阿部氏が所有していた広大な奥六郡(おくろくぐん)の領土を与えられます。こうして、清原氏は奥州のほとんどを所有する大豪族として君臨することとなりました。

それから20年。

武則の孫の真衡(さねひら)が清原氏惣領の地位に立っていました。

清原氏
清原氏

砂金ぶちまけ事件

1083年(永保3年)、清原氏長老・吉彦秀武(きみこのひでたけ)は、清原氏惣領・真衡の館の庭先で怒りをたぎらせていました。

「ええい。いつまで待たせる気じゃ。人を舐めくさりおって…」

この日、吉彦秀武は真衡の息子が結婚するというので、引き出物として砂金を持ってきたのでした。朱塗りの盆に砂金を盛って、頭の上に掲げてきました。すぐに座敷に通されるかと思いきや、吉彦秀武は何時間も無視され、待たされることとなりました。

その頃、奥の座敷では。

「真衡さま、さきほどから吉彦秀武さまがお待ちです。そろそろお目通りのほどを」

「ううん?ああん、今大事なところだ」

パチリ…パチリ…

真衡は大の囲碁好きでした。

この日も知り合いの坊主と囲碁に興じていたのでした。

「ええいもう。やっておれんわ!!」

ドザァッ

引き出物として持ってきた砂金を庭にぶちまけて、帰ってしまいました。

「なに?ワシの息子のめでたい結婚だというのに。なんたる無礼。そのような者、ほっておくとロクなことにならんわ!攻め滅ぼしてくれよう」

清原氏の内紛

「たたっ…大変です。真衡が軍勢を率いて攻め寄せてきます!」

「ぐぬぬ…。真衡に攻められれば非力なわがほうは、とうてい耐えられぬ。ここは、家衡殿と清衡殿にお味方を頼もう」

ドカカッ、ドカカッ、ドカカッ

吉彦秀武はすぐさま、家衡・清衡のもとに密書を送ります。

家衡・清衡は真衡の兄弟で、日ごろから真衡のわが物顔なふるまいに我慢ならぬものがあったようです。そこで、吉彦秀武は、家衡・清衡ならば味方となって、真衡と戦ってくれると、ふんだのでした。

清原氏
清原氏

「どうか私と共に、戦ってくだされ」

書状を受け取った家衡と清衡は、

「うむむ。同族の危機。捨て置けぬ」

すぐさま兵を挙げます。

真衡が吉彦秀武の館に攻め寄せた留守を、家衡と清衡が襲います。

ヒュン、ヒュン、ヒュン

ゴオーーー

燃え盛る真衡の館。

「館に敵に攻め込まれました!!」

「ぐぬうう…クズ同士手を結びおったな」

地団太をふむ真衡。

真衡は、出羽に秀武、陸奥に家衡と清衡。両面から敵に囲まれ、身動きが取れなくなってしまいました。

源義家の着任

そんな中、陸奥の新国守として源義家が赴任し、多賀城に入りました。

源義家は先の合戦、前九年合戦で功績を立てて以来、白河天皇に重く用いられていました。天皇行幸に際して、身辺警護を命じられたり、またこの頃、延暦寺や興福寺、三井寺の悪僧(僧兵)たちが「強訴」といって無茶な要求をつきつけて都に押し寄せ暴れていました。

また寺同士でも争っていました。義家はこうした悪僧が騒ぎを起こした際に鎮圧を命じらていれました。先の前九年合戦の時は20代の若者でしたが、今や男盛りの44歳です。

敵に囲まれ、どうにも身動きが取れなくなっていた真衡は、

「そうじゃ。この際、義家殿の武略におすがりしよう」

真衡は多賀城に使いを出し、吉彦秀武・家衡・清衡の連合軍と戦ってくれるよう、頼みました。

「殿、いかがなされますか」

「捨て置くわけにはいくまい。すぐさま兵を率いて、真衡殿にご助力いたそう」

こうして、源義家は清原真衡を助けて、吉彦秀武・清原家衡・清衡の連合軍と戦うことになります。

「後三年合戦」のはじまりです。

次回、三回シリーズの第二回「新羅三郎義光の着陣」です。

お楽しみに。

発売中です。

朗読 孫子の兵法
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孫子十三篇の一編ずつを、漢詩風に文節に区切って読みやすくし、朗読したDVDです。朗読を聴きながら、画面の文字を追うことで、初めて孫子を聞く方もなんとなく大体の意味を理解できるはずです。読み下しの後には現代語訳の朗読が続くので、さらに内容が理解しやすくなっています。今なら全文中国語朗読つきです。
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解説:左大臣光永

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