藤原京

694年、持統天皇は都を飛鳥からやや北の藤原京に遷します。
藤原京は都の中央をななめに飛鳥川が貫き、
北に耳成山、東に香久山、西に畝傍山という
大和三山が望まれます。

以後、持統・文武・元明三代十六年間にわたって
藤原京は都として機能しました。

藤原宮跡 奥に見えるのが畝傍山
【藤原宮跡 奥に見えるのが畝傍山】

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西に見える畝傍山は、初代神武天皇が即位された
橿原宮のそばです。
日本の歴史はここから始まったともいえるのです。

神武天皇が即位した橿原宮のあったとされる場所には
現在、橿原神宮が建っています。

そして東に見える香具山は、天(あめ)の香具山、
天(あま)の香具山ともいわれる、聖なる山です。

天の香具山
【天の香具山】

『古事記』でアマテラスオオミカミが天の岩屋のこもった際、
天の香具山でとれた榊を御幣にさげて、
シャンシャンとふることで、アマテラスオオミカミを
岩屋から導き出そうとしたことが書かれています。

また『万葉集』の舒明天皇の国見の歌には
天の香具山の姿が雄大に歌われています。

大和には 群山あれど とりよろふ
天の香具山 登り立ち 国見をすれば
国原は 煙立ち立つ 海原は かまめ立ち立つ
うまし国そ あきづ島 大和の国は

(大和に山はたくさんあるが、
その中でも特に優れているのが天の香具山だ。
その山に登って国見をすれば、
平野には竃の煙が立ち上り、海原には
かもめが飛び立っている。美しい国だよ。
大和の国は)

696年、持統天皇は孫の軽皇子に譲位するに際し、
お詠みになります。

おそらくは、大和三山と藤原都を見下ろす、
甘樫丘から、さぁーとふきつける心地よい風の中、
詠んだんじゃないでしょうか。

藤原宮《ふじわらのみや》に天《あめ》の下治めたまひし天皇《すめらみこと》の代 高天原広野姫《たかまのはらひろのひめ》天皇、元年の丁亥《ていがい》、十一年に位《みくらい》を軽太子《かるのひつぎのみこ》に譲り、尊号を太上天皇といふ

春過ぎて夏来るらし白妙の衣干したり
天の香久山

(春が過ぎて夏が来たらしい。真っ白な衣を干している
天の香久山に)

この歌が『新古今和歌集』に採られる際には、
言葉がやわらかくなり、より優雅な調べになりました。

春過ぎて夏来にけらし白妙の衣干すてふ
天の香具山

そしてこの『新古今和歌集』に採られた形で、
百人一首にも採られています。

藤原京は中国の長安や洛陽を手本に建設され、
中央の朱雀大路から東を左京、西を右京とします。

東西に貫く通り「条」が1条から12条まで。
これに南北の通りが交差し、碁盤の目のような
整然とした都市の作りでした。

藤原京
【藤原京】

南北の通りと交差した部分にできた一区画を「坊」
といい、「条」と「坊」をあわせて「条防制」都市・
藤原京です。

中央やや北側に
藤原宮(ふじわらきゅう)という区画があり、
さらにその中央に役人たちが政治を行う朝堂院、
天皇や皇族が儀式を行う大極殿、そして内裏が一列に
ならびました。

藤原宮
【藤原宮】

その左右の区画には役人たちの居住区がありました。

藤原宮の周囲は塀と塀で囲まれた空白地帯が取り巻き、
東西南北の塀にそれぞれ3つづつ計12の門があり、
市街地と隔てられていました。

この空白地帯は、
平城京や平安京には見られない、藤原京独特のものです。

それまでの都は天皇一代ごとに遷るならわしでしたが、
藤原京は代々都として使えることを意図して建設されました。

「ほんとうかなあ?もう都づくりに駆り出されるのはご免だぞ」
「これだけシッカリした都を作ったんだ。もう都遷りは無いだろう」

しかし、藤原京が都として機能したのは
持統、文武、元明の3代16年間で
その後、都は平城京に遷ります。

遷都後の藤原京はすたれ果て、
見る影も残りませんでした。

696年、持統天皇は孫の軽皇子に譲位し、
42代文武天皇が即位します。

「日本書紀」は持統天皇の譲位を持って
記述を終えています。

≫次の章「藤原不比等と平城京遷都」

解説:左大臣光永

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